現場だより

フォレストベンチ工法による施工事例を現場よりお届けします

「八幡山 土砂崩れ復旧工事にあたって」

大阪府能勢町  東 康平 様

 大晦日から降りだした今冬初めての雪は、2011年元日を祝うかのように一面を銀世界に飾りました。真白な雪の中に、精悍な輝きを見せて完成した「全天候フォレストベンチ工法」の姿に眩しいくらいの感動と、これまでの経過を思い出し感謝の念に浸りました。真新しい八幡神社参道の雪除けを行い、初詣で御礼やお願い事を念じました。齢73歳、大仕事を成し遂げた元旦でした。

 昨年5月24日の朝、連日の大雨により、自宅裏山(当家の氏神である八幡神社)の急斜面が土砂崩れ致しました。60年ほど前(父の代)にも、今回よりも広範囲の崩れを起こしています。「何とか良い方法を考えねば」「将来にも危惧を残さないようにせねばならない」と災害発生以降、絶えず頭から離れない毎日でした。

 大阪府・能勢町の被害調査の結果、災害復旧の補助は出ないとのことで、「それなら俺がやる」と覚悟を決め、地元は勿論かなり広範囲の工事関係者を探し情報収集を行いました。
工法は誰もが思いつく石積みと考えていましたが、傾斜角度の問題で八幡神社の鳥居を奥に移動せねばならない、斜面土を境内に持ち上げるためユンボを境内まで上げねばならない等の難問題があることが分かり、大きな壁にぶつかりました。(現在はこの石積みをする工事業者は激減していて、なかなか見つからない状況です)それから、家内と各地の災害復旧現場を見に行き、工事関係者を探し聞き取り調査を行いました。しかし、当時の小生の頭には、「石、コンクリート、石状ブロックを使う」という根本思考しかありません。
河川堤防に使われている間知石、ブロック状石、又、上部土除去後の岩盤に生コンを吹き付けその上に草の種を接着し草を生やす、岩盤に金網を張る等、種々の工法の関係業者の調査・説明・見積もりを頂き、検討を続けてきました。

 工事を行う場合、その工法、強度、費用、耐久性、業者の信用信頼性、工期、外観、安全性(家屋と隣接し狭い所では50cmしかない)等の基本条件を考えるのは勿論ですが、先述の工法では、「家屋と裏山と八幡神社の総合的な景観と調和」について、どうしても納得が出来ず、これらを解決する他の工法を探すための苦慮と焦りは増すばかりでした。このような時に限り、期日の過ぎるのは早いものです。早くせねば冬になり雪・寒風・凍結等の工事環境が悪化することが見えていました。(海抜550m)

 ある日、長男の嫁の弟(土木技術者で笹山市役所勤務)が来た時、いままでの経過と今後について相談をしたところ、「そら、石、セメント、ブロックにこだわったらあかんで」とのこと。これが今後進展してゆくきっかけとなりました。2010年9月9日、㈱国土再生研究所の栗原先生と大阪の中林建設㈱の永山主任様が初めて来られました。熱意ある学者先生と、真面目で頭の切れる若手技術者の説明を聞いて、瞬時に「これは面白い考えやなあ」そして「見た目に優しいけど強度はどうやろな」と感じました。その後、度々の説明や実績等を聞き、工法の基本理念や理論が素人の小生にも理解出来そうになりましたが、家内や長男夫婦に説明すると途端に自信が無くなり、又、迷い始める始末でした。

 そこで、この工法で完成した現場を見学したいとお願いすると、大津の「石山寺の工事」を紹介され、(9/12)家内と実物を見て、想像以上の偉大さに感動し「よし、これならやろう」と腹を決めたような次第です。又その後、細部の説明や調査・指導を頂く中で確信が生まれ、将来のため実際に崩れた場所以外の部分や参道も含め、急斜面全体の施工をすることになりました。

 その後は東京から栗原先生、中林建設㈱の中村執行役員土木部長様、鳴海営業部次長様、柚井工事長様、永山主任様が何回も来られ、事前調査や交渉事を行いました。特に、家屋との間が狭く急斜面である為、重機が搬入できず、手作業が多く土の移動や作業の安全面に問題がありましたが、(10/2)実際に施工を受け持つ栃木県鹿沼市(有)大島技工の大島社長様と永山様との最終的な調査結果でGOサインとなりました。そして、(10/6)に契約所締結、(10/26)着工、(12/28)竣工と年末ギリギリまで掛かり、冬季約2カ月間に亘る「全天候フォレストベンチ工法による工事」が無事完成した次第です。

 当初感じていた不安材料や疑問点は、連日の工事現場作業を見て行く過程で、完全に払拭されていきました。厳かで、景観を引きたて自然と調和し、しかも重厚で間伐材の裏には特許技術に立証された強度を備えた工事が完成いたしました。これは偏に「全天候フォレストベンチ工法」を開発された栗原先生、「作る技術~生む技術」の中林建設会社様、そして遥か栃木から来られた「地球にやさしい特殊技術」の(有)大島技工の方々の総合結集技術力と熱意と親切心による力作と、心から感謝と御礼を申し上げる次第です。特に大島技工の社長と奥様はじめ各位には、借家暮らしで不自由な日々の中、早朝から日没まで北風・氷雨の中、休日返上で誠心誠意の60余日間のご苦労に対し厚く御礼申し上げます。
又、柚井工事長様も毎日、工事の安全管理と指導監督、時にはチェンソーを持ち、クレオソート塗りなどしながら、神社表参道の工事企画・施工管理をしていただき、仕事を超えた心が伝わる姿勢には感服いたしております。

 お陰様で、事故・怪我もなく無事竣工出来たこと。又、工事完了を待っていたかのように30日夜から大雪となり、正に「天・地・人」の恵みと、工事関係者様の人徳と運の強さ、そして「氏神 八幡神社」のご利益と感謝いたしております。

 今後、この工法がますます理解され、発展するよう願っています。

追伸 1)3月中旬に「エコ・バンブー緑化工法」により「ショウコマチ竹」を植栽する計画です。